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公正な買収の在り方に関する研究会について

M&A • 2022/12/28 13:52:17 • Written by: Tatsuya Yahagi

2022年11月に経済産業省により「公正な買収の在り方に関する研究会」(https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kosei_baishu/index.html)が設置され、2022年12月末までに計3回会議が開催されています


企業買収については、2019年にもMBO等に焦点を当てて「公正なM&Aの在り方に関する指針」が旧MBO指針を改訂する形で策定されていますが、近時の有事導入型買収防衛策の導入・発動や司法判断等を受けて、いわゆる敵対的買収(本研究会では、中立的な表現を使用するということで「同意なき買収」との用語が用いられています)に対する各当事者の行動やそれに対する防衛策の在り方等につき検討し、新たな指針を策定(ないし改訂)するとのことです。
本研究会の議論を経て策定されることとなる新たな指針は、特に上場企業の買収実務において、大きな影響を与えることになるものと思われます。今後の本研究会の議論の動向及びそれを踏まえて策定される新たな指針(2023年春頃の策定が予定されています)の内容につき注目されます。
なお、(以下余談になりますが、)2022年12月26日の本研究会の事務局説明資料8頁において、複数の買収提案がある場合に、買収対価は低いものの「対象会社の企業価値の向上により資すると判断する買収提案に賛同することも、ありうるのではないか」といった問題提起がなされています。これは、上場会社の買収を念頭に置いたものですが、他のシチュエーションにおいても同様の判断があり得るかといった点についても、個人的には興味を持ちました。例えば、PEファンドのEXITにおいては、GPはLP投資家に対して負う忠実義務等から、提示価格の最も高いEXIT候補先に投資案件をEXITすることが基本と思われますが、提示価格は若干低くても、投資先企業のEXIT後の中長期的・持続的な企業価値の向上により資することが見込まれる候補先にEXITすることが許容されるか、許容されるとしたらどのような場合か、といった論点について、本研究会の議論は、もしかしたら参考となる視座を提供してくれるかもしれません。

Tatsuya Yahagi